2020年09月14日

ミニ薔薇ちゃん~その2~

すっかり弱ってしまったミニ薔薇の世話をしながら庭師は思いました。

ああ、なんてことだ最高の環境を選んだはずだったのに・・こんな事になるなんて


そっとそっと土を掘り起こしてもう一度温室へとミニ薔薇を移しかえました。

ぐったりとしょげたように元気を無くしてしまったミニ薔薇は温室に戻っても前のようにはなりません。


大丈夫、原因は取り除いたから直ぐに前のように生き生きと元気になるさ。

庭師がそう願っていると

ミニ薔薇が初めて口を訊いたのです。


煩いわね、ワタシなんてどうなってもいいの

勝手にこんな処に連れて来て、ミニ薔薇ちゃん、ミニ薔薇ちゃんってそう呼ばれるのも大嫌い。

だって私はこんなに棘だらけだし、ちっとも綺麗じゃないわ。

温室の中では知らなかったけれど外にはもっと素敵な木々や花が沢山輝いて幸せそうに咲き誇っているの。

そんな中でワタシがどんな気持ちになったと思うの。

とっても惨めでみすぼらしくて情けなくて堪らないの。

それなのに、アンタは毎日毎日眺めに来て何がそんなに嬉しいのかしら。

早く花を咲かせてですって、どんな花が咲くかなんてワタシにも判らないっていうのに、そんな期待大きなお世話だわ。


そんなミニ薔薇に庭師は言いました。

そうだね、私の勝手でお前をここへと連れて来てしまった。

でもお前の世話をするのは喜びなんだ、一日として同じじゃないツンとした棘の一つ一つだって瑞々しい葉の一枚だって

やっぱり私には美しいと思えるのだから。

私は私の為にお前の世話をしているんだよ、期待に応えて貰おうなんてこれっぽっちも思ってないんだよ。




ミニ薔薇からはなんの返事も帰って来ませんでした。



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posted by KOUNEN鬼 at 17:43| Comment(0) | ミニ薔薇ちゃん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月13日

ミニ薔薇ちゃん~その1~



1人の庭師がおりました。

庭師はあちこちに呼ばれて仕事をしてそれを糧に生活しておりましたが

そんな仕事の傍らで自分の庭の世話もしておりました。


ある時庭師は小さな薔薇の苗木を持ち帰りました。

それはまだまだ小さな苗木なので大切に大切に最初は温室の中で育ておりました。


小さな小さなミニ薔薇ちゃん
お前はどんな花を咲かすんだろう

庭師は小さな苗木を眺めながらそう呟きました。

温室の中で苗木はすくすくと育ち

随分と成長しましたので、もっと伸び伸びと育つようにと庭師は
一番環境の良いと思った場所に苗木を移し替えたのでした。

春の日差しを浴びて、ミニ薔薇は艶やかな緑の葉を風に揺らします。

このままどんどん育ってゆけば、さぞ美しい花を咲かすことだろう。

庭師は満足そうにミニ薔薇を見つめたのでした。

一月がすぎミニ薔薇は少し伸びたように見えました、ミニ薔薇は庭師のお気に入りになり毎日様子を眺めておりました。

ところが三月が過ぎる頃、ミニ薔薇の葉が急に艶を無くしてパラパラと萎れて落ち始めたのです。

庭師はその様子にすぐに気づいて慌てました。

これは一体どういうわけなんだろう。

枝を調べても問題ないようなので、庭師は少しだけ根元を掘り起こしてみました。

すると、ミニ薔薇の根に害虫がいたのです。


お前が、ミニ薔薇を苦しめていたのか!

庭師は害虫を駆除することにしました、ミニ薔薇を傷つけないように丁寧に気を配りながら害虫を取り除いたのでした。

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posted by KOUNEN鬼 at 23:58| Comment(0) | ミニ薔薇ちゃん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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